@article{oai:jircas.repo.nii.ac.jp:02000133, author = {INAGAKI, Masanori}, journal = {JIRCAS Journal}, month = {Mar}, note = {A technique for producing wheat haploids through ultra-wide crosses followed by embryo rescue was improved by successfully selecting pollen donors from different subfamilial species and applying a plant growth regulator. Efficient crossing procedures were developed by using stored pollen and detached-tiller culture. Production of wheat haploids from diverse genotypes is efficient enough to obtain two haploids per wheat spike. This technique could be useful as a strategy for reducing the time required to obtain homozygous breeding lines and improving selection efficiency of wheat breeding programs. Procedures for doubled haploid production are described., コムギの品種改良に要する年限を短縮する方法のひとつは,半数体を利用して遺伝的に均一である純系を即時に作出し,これらを選抜に供試することである。とくに,開発途上国においては,諸障害に抵抗性の品種を早期に育成しその生産性を安定向上させる必要性が高い。これらの観点から,国際農林水産業研究センターは,国際乾燥地域農業研究センター(シリア)および国際トウモロコシ・コムギ改良センター(メキシコ)との間でコムギ半数体の作出と利用に関する共同研究を1986年より実施してきた。本報告は,この共同研究の成果をもとにした。 コムギの半数体作出法としては,すでに葯(花粉)培養法が知られている。しかし,半数体作出頻度はコムギの品種によって大きく異なり,一部の品種から作出ができないという欠点は現在でも解決されていない。これに対して,遠緑交雑を利用する半数体作出法は,異属あるいは異亜科の植物の花粉と交雑させ,その受精卵から花粉親の染色体が消失することにより半数性のコムギ胚を形成させることにある。 花粉親として異属のオオムギ野生種Hordeum bulbosum L.を用いる場合,その交雑和合性にコムギ品種間で大きな差がみられ,一部の品種では半数体が作出できない。これを打破する方法として,H. bulbosumの系統選抜および植物生長調節物質2,4-Dの利用を試みた。交雑和合性の品種では結実率および胚形成率の向上が得られたが,交雑不和合性を十分に打破することはできなかった。 その後,亜科の異なるトウモロコシを花粉親としてコムギに交雑すると受精はするがトウモロコシの染色体が急速に消失し胚形成に至らないことが報告された。そこで,コムギにトウモロコシ花粉を授粉した後に2,4-Dを処理した結果,H. bulbosumと交雑不和合性のコムギ品種からも半数性の胚を高率で獲得することに成功した。さらに,他の花粉親について検討した結果,トウジンビエはトウモロコシと同様な効果を有するが,モロコシはH. bulbosumに似てコムギ品種によっては交雑不和合性を示したので,花粉親としてトウモロコシおよびトウジンビエが有効であることを明らかにした。 トウモロコシおよびトウジンビエとの超遠縁交雑を利用するコムギ半数体の作出では,交雑時にこれらの新鮮花粉が常時必要であり,また,コムギの材料が離れた場所にある場合には交雑を実施しにくいという交雑時期および場所についての改良すべき間題点がある。これらを解決する方法として,花粉の凍結保存およびコムギの切り穂培養について検討した。トウモロコシの花粉は,乾燥および凍結処理により発芽率が低下し,コムギに授粉した場合,新鮮花粉使用の場合に比べて胚形成率が半分以下に減少した。これに対して,トウジンビエの花粉は乾燥および凍結処理に耐性があり,凍結保存花粉使用の場合でもコムギの胚形成率の減少は認められなかった。一方,切り穂培養の効果については,切り穂としない通常の交雑方法と比較してコムギの半数体作出頻度に変化がないことをトウモロコシおよびトウジンビエの新鮮および貯蔵花粉を用いて確認した。以上の結果から,凍結保存花粉およびコムギの切り穂を用いてコムギ半数体作出に必要な交雑操作を効率化することができた。 超遠縁交雑を利用するコムギ半数体作出の効率は,現在のところ,コムギl穂当たり2個の半数体(染色体倍加処理後には1.5個体の倍加半数体)の作出である。今後,コムギの品種改良において育種年限の短縮の一方法として利用されると期待される。最後に,コムギ材料の準備から交雑,胚培養,染色体倍加の過程を経て倍加半数体の作出までの操作について詳述した。}, pages = {51--62}, title = {Technical Advances in Wheat Haploid Production Using Ultra-wide Crosses}, volume = {4}, year = {1997} }